『ベルリン・天使の詩』を見て考えたこと

 ヴィム・ヴェンダーズの『ベルリン・天使の詩』を久々に見てしまいました。 いつ見てもこの作品には癒され、何らかのヒントを授かるのですが、昨夜はどういう訳か、別のことを考えてしまったのです。 ご存知の通りあと数日でFIFAワールドカップがドイツで開催されます。 東西ドイツが統一し、初めての一大スポーツイベントとなりますが、ワールドカップ開催という華やかさとは裏腹に、未だに旧東ドイツ住民は貧困にあえぎ、統一からそろそろ20年が経とうというのに、東西の格差は縮まるばかりか、むしろ広がっているといっても過言ではないのです。 今回ここでドイツの政策について論じるのは避けたいと思いますが、旧東独の共産党政権が行った「でたらめな」な政治がすべての原因になっていることは確かですし、もっと言えば、ヤルタ会談により旧ソ連と連合国で分割占領を決めてしまったことが最大の罪なのです。(一番悪いのはやはりヒトラー率いるナチスだったのは明白ですが…) 僕はあの統一が間違っていたとは思いませんし、むしろ同一民族同士が分断されていること自体が不自然だと思いますので、ドイツが統一されたことは喜ばしいことだと思います。 しかし、明らかに準備不足の中での統一劇でしたから、その後の経済低迷や失業問題、そして移民政策に至るまで、当然のことながら起きて然るべきだったと思うのです。 ただ、ワールドカップ開催をきっかけに、低迷しているドイツ経済が立て直せるかもしれませんし、今後東西の格差が少しずつでも縮まれば嬉しいのですが…。